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出席率100%の合奏団を目指し、バランスの良い楽器構成で 充実したハーモニーを楽しみたかったらみんな一緒に上手くならなければならない・・・。一口に云うけれども、“言うは易く行い難し”というやつでした。
これはもう、何か少しでも有効な情報が有ればお互い勉強の材料にして、向上する意欲を持たねばならないと思っていました。そこに、この本との出会いです。
その頃の私が伸び悩んでいたことを、具体的に思い出すと・・・。
私は、ポジション移動の際には、左手首の形がくの字形になったり、逆くの字形になったりせずに、手全体が移動しなければならないものだと思い込んでいました。
先生の中には、親指を先行させるよう指導する方もいらっしゃるぐらいです。ましてや、指だけが先行して親指が後からくっついていくポジション移動なんて悪い見本だと思いこんでいたのです。
そして、取りたい音のポジションに、好ましい左手の形のままでピシッピシッと位置が決まらなければならないのだと思っていました。・・・まるで精密機械の製作ロボットのように。
しかし、これがなかなかうまく行きませんでした。特に、1音分あるいは半音分のポジション移動が必要なときなど、もうほとんど不可能でした。プロの演奏家を初め、子供の頃からやっている人達を見ていても、みなさん正しい姿勢でピシッピシッと決めて弾いています。全く人間というものは、こんな精密な製作ロボットのようなことが出来てしまうのだと言うことが驚異に感じました。やはりバイオリンという楽器は、子供の頃から訓練されていないことにはダメなんだろうと、どんどん弱気になって行きました。
そこでこの本との出会いです。
読み進めて行くほどに、次から次へと目を覚ましてくれるようでした。まず冒頭の「かたくなな規則にとらわれるな」という言葉に、先ず感動を覚えました。そして、ハーフシフトやクリーピングフィンガリングの存在。これらのことは私自身が持っていた常識を覆すものでした。
昔読んだカールフレッシュの本では、色んな流派が色んな弾き方をしていることが紹介されていました。しかし考えて見れば、どの流派でも極めた人は、いずれ劣らぬ名人であろうことは容易に想像されます。形にとらわれることこそ弊害なのでしょう。
とにかく、伸縮した指が先行し、親指が後から追いかけるようなポジション移動の形も容認されるのだということ、また、指の伸縮で音を捕らえると云ことで、手首が曲がることも容認されるのだという認識が持てたのは、大革命でした。
そういえば・・・。昔先生がおっしゃっていた「指はお互いひっぱりっこするんだよ。」という言葉がありありとよみがえっても来ます。 やっとその時、意味が理解できたのです。
これは、田中千香士さんの「五本の柱」でも こんな風に紹介されています。「あるポジションに左手を固定し、第2指を杭のように打ち込んだら動かないようにする。それで第1指を下方へ、第3指、第4指は上方へ、タコの足のように伸ばせるだけ伸ばして、その間に取れる音は全部利用する。(中略)このテクニックは、エキステンションまたはシフトレスフィンガリングに属する。」
これは、シフトせずにシフトしたのと同じ効果を生むテクニック、と言うことが出来るのでしょう。このことから、正確な位置に先行した指のポジションへ手全体を移動させてしまうことも派生し、すばやいポジション移行のテクニックとも云えるでしょう。
こんなことが分かって行くにつれ、私にはある思いがひらめきました。これは是非とも合奏団の連中と共有したいと思いました。
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