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<弦楽合奏の楽しみ>
(9) サウンディングポイント

前回、簡単に表現方法と言ってしまいましたが、これはなかなか大変です。しかしよく表現方法と言っても、我々アマチュアが合奏して楽しむ分には、そんなに たくさんあるわけではありません。これまでの経験から考えて見ても、ある曲を初めて合奏した場合、フォルテやピアノと書かれているにも関わらず、無視して弾いてしまうことが多いですよね。そして、何回も何回も「ここはフォルテですよ、ここはピアノですよ。」と言わなけ ればならないのが普通です。ましてやクレッシェンドやデクレッシェンドなど、注意してもなかなか出来ません。ですから、我々アマチュアは、放っておいてもフォルテやピアノが確実に出来るようになれば、それだけでも相当上等なアマチュアだということができるのではないでしょうか。ですから今日は表現方法の内、音の強弱についてのお話をしましょう。ガラミアン教授の本には「サウンディングポイント」という言葉が出てきます。これは、弓を弦に乗せるときの駒からの位置のことです。普通は、指板の端部と駒のほぼ中央当たりで弾きますね。このポイントより駒側寄りの位置で弾くか、指板側寄りの位置で弾くかによって音質が変わってきます。駒のすぐ近くで弾くには、弦の張力が強いので、これに打ち勝つよう、弓に圧力を加 えなければ音が出てくれません。音質としては、荒々しく強い音が出ます。駒から少し離れた位置では、弦の張力が弱いのでそんなに圧力を加えなくても音は出 ます。そして、弱い柔らかい音が出しやすい位置です。

ですから、強い音を出したいと思ったら駒の近く、弱い音を出したかったら指板の近 くと思えばいいわけです。すると、クレッシェンドやデクレッシャエンドはこの2つのポイントを移動すればいいことになりますが、こんなことできるんでしょうか。ガラミアン教授はこのように言っておられます。

「下げ弓では、弓の先端を駒から遠ざける方に向けると、弓は指板の方にすべり、一方逆の方に向けると、弓は駒の方に滑ってくる。このことは下げ弓に対してだけあてはまる。上げ弓だと事情が逆になる。ここでたとえばディミヌエンドの場合のように、下げ弓でサウンディングポイントを指板の方へ動かせると仮定しよう。この場 合、弓の先端は駒から遠ざける様に弾かなければならない。これは弓の先端が近づいてくる際、弓をもつ手をあまり前方に伸ばさぬようにすることでなされる。その結果、弓は指板の方へすべり始める。下げ弓で、弓を駒の方へ動かす際、奏者は弓の先端に近い部分に達したとき、弓を持っている手を十分に前に伸ばすと良い。そうすれば先端は駒の方へすべってくる。上げ弓ではこれらの方法が逆になる。」

これを読むと、何か感覚的には逆のようにも思えますね。弓を駒の近くへ移動させたいと思うと、手前へ引っ張りたくなりますね。これが逆なんです。一度試してご覧になればこのことが良くお分かるになると思いますよ。

しかし、実際にはこれらのことは、日毎の訓練で自然に覚えるものなのでしょうね。 つまり、クレッシェンドしたくなったら、自然とサウンディングポイントを移動させていたっていう風に・・・。 ピアノやフォルテ、あるいはクレッシェンドやデクレッシエンドは、その書かれた記号を見てから奏するのでは遅いんです。自分の気持ちが、その楽曲に対するイメージ が、そうなっていなければいけないと思うのです。自分の出す音に対するイメージをしっかり持って弾く、これがいつの場合にも基本となるのでしょう。

このようなことを、合奏団のみんなに小冊子の中で説明するのは、私にはとても難し く、また専門家でもないので恐ろしく勇気のいることでもありました。

ここで少し困りました。どうすればいいのか・・・。