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<弦楽合奏の楽しみ>
(10) 音階練習

ガラミアン教授の「ヴァイオリン奏法と指導の原理」を読んでいくと、日常の練習で遭遇するあらゆる事に対応した実戦的な説明がなされていることに驚きます。私にとってこの本の魅力はココにあります。

表現について、ここはこう弾きたいというようなことが、指揮者との間で良く話題に なりました。そんなとき、例えば「この音は音の出だしはアクセントがつかないように丸く出、そ して音の終わりの方はすーっと消えかかって行くような感じで、休符をおかずにまた次の音が同じ様な感じで始まる。」と言うような場合、こんな言葉だけではなかなかイメージ通りに行かないのが普通です。私はこのような音のずばりそのものの説明を、この本の中に見つけることが出来まし た。この本では、このような表現に用いる奏法を「デタッシェ・ポルテ」と呼んでいるんです。休符を置かないのがデタッシェ・ポルテで、休符を置くのがデタッシェ・ランセと呼んでいることも知りました。

そこで、このような奏法の名前と表現方法とを結びつけることによって、いちいち指揮者が長ったらしい説明をするまでもなく、奏法の名前で通用するように考えればどうだろうと思ったのです。しかし、ガラミアン教授の本で読んだ上での解釈は、本当に正しいのかという点に不安はありました。私が今待ち望んでいるのは、奏法の名称とそれを実際に模範演奏し たCDなんですが、そういうのは聞いたことがありません。 しかし、要は技術用語と云うことで、我々の合奏団内で通用させればいいじゃないかと言う風に考えました。

そこで、音階練習の楽譜に、これらの奏法名称とそのイメージ図を併記して、毎回合奏前に音階練習して関連づけることにしたのです。奏法の種類はデタッシェ、マルテレ、デタッシェ・ランセ、デタッシェ・ポルテ等です。そこへピアノ、フォルテ、ク レッシェンド、デクレッシェンドが加わります。このような練習を毎回地道に積み上げていきました。

その内、大学オケを卒業した後輩達が噂を聞きつけて、ぼつぼつと参加してくれるようになりました。私はもう以前の経験で懲りていたので、後輩達には期待していませんでした。しかしやはり、中には卒業してからも音楽を続けたいと思っている人もいるということが分かり、何か安堵した気持ちでした。

所が、そういう人達というのは、揃いも揃って「大人から始めた人達」ばかりだったのです。