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<バイオリン上達への近道>
(3) 自分の音の判定方法

さて、前回までに私はバイオリン上達への近道は1)発音すべき音を頭の中に思い浮かべることであり、2)そのための重要な練習が音階練習だ というお話をしました。今回は、これらに優るとも劣らない位重要な、「自分の発音結果を判定する方法」についてお話しま す。

自分の発音した結果については、耳の良い先生の指摘を受けるのが最もよい方法かもしれません。また、時々自信の無い音をピアノで確認するというのも、勿論有効な方法です。私が取った方法は弾きながら自分の耳で確認できる方法です。私はこれを習慣付けて練習することによって、自分でも何だかすごく耳が開発されて行くような実感を得ました。これは 開放弦の共鳴を利用する方法なのです。つまり、ある音列を弾くと必ずどこかで隣の、あるいは二つ三つ隣の、開放弦が共鳴しているはずなのです。G線でいうと、例えばこうなります。とりあえず1stポジションで説明します。
ハ長調で考えるとG線の1指はA弦と共鳴します。4指はD弦と共鳴します。D線の1指はE弦と共鳴します。3指はG弦、4指はA弦と共鳴します。A線の3指はD弦、4指はE弦と共鳴します。同様にE線の2指はG弦と、3指はA弦 とそれぞれ共鳴します。

勿論、調性やポジションが変われば、上記とは事情は異なってきますが、少なくとも、どこかで開放弦と共鳴する音があるという根本原則は変わらないのは言うまでもありません。 もし自分の発音が正確な音程であれば、キッチリ共鳴してくれます。しかし少しでも狂っていれば絶対共鳴してくれません。実に厳格な先生です。この厳格な先生に厳しく判定してもらいながら弾いていると、見る見るうちに音程が良くなっていきます。 しかし、ここで大 きな問題があります。共鳴しているかどうかの判定をどうするかということです。これは少 し慣れが必要かもしれません。弦が共鳴しているということは、具体的にその開放弦を観察すると振動しているのが見えるはずです。といっても、弾いている最中に見るなんてことは不可能です。ただ、振動しているのですから、理屈としては、元の音に共鳴音が加わっているのですから音が大きくなっているはずだと言うことは出来るでしょう。所が実際には、そこだけそんなに音が大きくなるという感じはしないのです。しかし何度も何度も聞いてみると、音が大きくなっているというより、確かに音色は変わっているように聞こえます。共鳴 しているのですから、必ず何らかの変化があるはずです。私はその変化を音色の変化で認識 するという捕らえかたをしましたが、これは人によって捕らえかたが違うかもしれません。もし、試された方があったら是非どういう認識のしかたをなさったのか教えてください。

上記の練習に慣れてくると、至る所で「あー共鳴してるしてる」と感じながら弾くことが出来ます。こうなってくるともう飛躍的に耳が開発されて行くはずです。ここで共鳴しているはずなのに、共鳴していないと感じたら指を矯正することもできます。つまり、距離感でなく、耳で正しいかどうかを判定することが出来る訳です。従って、耳に自信が無い間は、 例えば3rdポジションの練習などで、他のポジションから移行した時、1指は隣の弦と共鳴 しているはずなので、これを判定材料に使えます。逆に言えば、共鳴するところが3rdポジションのポイントなのだという捕らえかたも可能です。共鳴は開放弦と同じ音が鳴れば必ず起 こるのですが、傾向としては太い弦が鳴った時に細い弦が共鳴しているのは比較的わかりやすいが、その逆はちょっと分かりにくいかも知れません。例えばE線の2指でG音を鳴らし た時、G弦が共鳴するのはやや分かり難いでしょうがそれこそ慣れの問題です。それが、E 線のもっとハイポジションのG音の共鳴はもっと分かり難いのですが、大丈夫必ず分かるようになります。先程は説明のために1stポジションを例にとりましたが、実際には1stポジ ションでこの共鳴を認識するのは、少し慣れてからでないと分かり難いかもしれません。私の耳がこの共鳴していることを最初に認識することが出来たのは、3rdポジションへのポジ ション移行練習時の1指と2指で、これはその後も実に良く活用しました。これで共鳴していることを認識する感覚を身につけることが出来たことを記憶しています。この共鳴法は実はE線のハイポジションになればなる程、その威力を発揮します。私の場合ですが、3オクターブの音階練習でも、やっと3rdポジション位までは一緒に弾いてくれる先生の音とぴったり合うようになったのですが、それから先高い音になればなるほど、先生との音程の開きが大きくなって行ったのです。音階なのでどんなに高い音になろうとも、同じ音のはず だし、一生懸命頭の中に思い浮かべては発音するのですが、どうしても先生との音程差は縮 まらないのです。これはどうしても直らないまま、先生は他界されてしまいました。どうも 人間の耳は高音になればなるほど、その音程差の識別がしにくくなっていくようです。だから、先生亡き後は、もうこの共鳴が唯一の頼りになったのです。だから私はハイポジョショ ンになればなるほど、しつこくこの方法で確認するようにしたのです。そしてかなりなハイ ポジションでも、共鳴の認識をすることは可能だということも分かってきました。

この方法が成功するかどうかは、共鳴の認識が出来るかどうかということにかかっているのですが、大丈夫です、根気良く試して見てください。必ず分かるようになりますので是非 ともマスターされるよう願っております。私は、この方法を、学生オーケストラ時代のある先輩の「音程がしっかりしている人の演奏は、開放弦がビンビン共鳴しているものだ。」 という言葉をヒントに思い付いただけなので、恐らく割合良く知られている方法ではないか と思います。しかし耳の開発の遅れていた私は、わらをも掴む思いで必死に取り組んだからこそ、この方法はある程度の効果をあげることが出来るものなのだということも分かったし、また、自分の言葉で皆さんにもお勧めする事が出来るのだと思っています。これで音感に関することは大体書き尽くしたように思います。次回は、私が最も書きたかった「我が人生最大・2年間続いた大興奮」についてお話します。