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3)耳をふさぐ練習?
前回は衝撃的な体験をしました。 ハモった瞬間というのは、音が生き生きと輝いていて、 伸びやかに部屋中に響くのです。 それもほんの一瞬のハモリであれだけの音に変貌する・・・。
そしたら、もっとハモル音が増えたらスゴイことになるぞこれは・・・。
前回のあのレッスンを受けての今回ですよ、 もう・・・期待に胸を膨らませながら意気揚々と先生のお宅へ・・・。
先生のピアノ伴奏で前回と同じようにヴァイオリンを弾きだしました。 ゴセックのガボット・・・。 まぁ・・・なんということもなく弾き終えると・・・期待に反して厳しいお言葉が・・・。
「全く響いてなく音質が汚い。音程も全体にずっと低かった。」 なんと、もう先生はほとんど不快感モードなのです・・・。
え・・・、そんなぁ・・・。 流れから行くと、今日はもっとハモる箇所が増えるはずじゃなかったの・・・・。 いや・・・実はそうなんです、
前回のあの輝いた音・・・、一つもありませんでした。 どうして・・・?
曲を変えましょう、と次々と弾いていきましたが結果は同じ・・・。 何度やっても同じ・・・いつまでやっても同じ・・・・。
そのうちお気の毒に、先生までなんかあせりムードで、 「この前感じたハモリ感をもう一度だけでも感じて欲しい」 と何度もやっていただいたのにとうとう最後までダメでした。
前回、あの衝撃の体験をしたので、 今回は先生も結構期待して頂いていたようなのです。 そうです、私も期待していました。 それなのに・・・。
なんと、先生は前回のレベルよりずっと後退したとおっしゃいます。 しかし私には、前回とそれほど違っているようには思えないのです。
なるほど、光る音はなかったです、輝いた音も・・・。 前回は分離奏でも光った音もあったし、曲を弾いていても輝いた音もあったのに、
今回は何一つなかった・・。 この2週間に何があったのか・・・。
先生と色々お話しているうちに、 この2週間は、あるオーケストラへ入るためのオーディションを受ける為、 必死になって「ウィンザーの陽気な女房達序曲」を練習していたことが明るみに出て来たのです。
実は、私もやはりオーケストラへのあこがれも止みがたく、 こっそり?挑戦してしていたのです。 それまでの2週間との大きな違いと言えばこのことなんです・・・
考えているうちに、ハッと気がつきました。 ひょっとしたら・・・、オーケストラの速いテンポで弾くための練習で必死になっていたため、
そっちのに方ばかりとらわれていて周囲の音はおろか自分の音も聴いていなかったのではないだろうか・・・。 そうなんですよ・・・きっと・・・。
私はオケの練習するときは必ずMIDIと合わせて練習しています。 それに何回か実際にオーケストラのハーモニーの中へ入って練習もしています。
つまり一応全体のハーモニーがあるわけですから、 そのハーモニーを感じながら自分の音に気を配って練習していればとてもいい練習になっていたはずなのに、
ちょっと思い出してみただけでもそんな覚えは全くありません。 実態はハーモニーを感じて弾くどころか、 ただ無神経にカンカンになって指を置いて行っていただけだった、
・・・と言うことが分かって来たのです。 どうやらこのおかげで、せっかくいい耳に行きかけたのが完全に吹っ飛んでしまったらしい・・・。
確かに、昔から色んな所で聞いた話ですが、 「せっかくレッスンでいい形になった左手やボーイングの形が、 オーケストラで練習するとバラバラになってしまう。」と嘆く人がよくいました。
つまりそれほどオーケストラでは余裕が無いのですね・・・。 もう姿勢がどうとかの問題どころではなく、 なにがなんでもなりふりかまわず弾かねばならない・・・。
これは確かにあるようです。 オーケストラで台無しにしてレッスンで矯正の繰り返し・・・。
そのことを思い出しました、オッソロシイもんですね・・・。
今日はもう、先生には、徹底的に私の音を聴いていただいたんです。 その結果すごいことも分かりました。 ・・・というか「・・・らしい」と言う方がいいのですが。
自分には分かって無いのです。 先生がそうおっしゃるのでそうかな、と思うだけで・・・。 このところが弱い所なんですよね。 先生の発言を出来るだけ正確に再現しますと・・・。
「弓の入る角度によって音程が変化しています。」
「弓の駒からの距離によって音程が変化していますよ。」
「弓幅を小さく動かせているときは安定していますが、 大きく動かすと急に音程が変わります。」
「アップボウとダウンボウとでも音程が変化しています。」
う・・・・む、音程の悪さについては我が師が30年も前に亡くなってからというもの、 しかるべき人に聴いて貰った事もなかったので誰からも指摘されたことがなかったです。
久しぶりですねこういうの。 だから色んなことを忘れてしまっています。 初めのうちは、えーーーそんなことありえないって感覚でしたが、
冷静に考えてみると確かに圧力で弦長に変化が生じて音程が下がると言うことはありうる話です。 だから弓先のほうで弓幅小さく動かせている分には音程的にも安定しているのでしょう。
しかし弓幅を大きく弾かなければ生きた音は出ません。 弓幅大きくかつ安定した音程で弾くには・・・ ここでも「完全脱力」が要求されるのですね・・・。
私のボーイングも「完全な脱力」には達していない為、 弓の運動に少しでも動きが出ると、 すぐ弦への圧力となって微妙な影響が出るということなのでしょう。
しかし・・・、それにしてもすごい超人的な耳を持つ方がいるもんだと驚いてしまいます。 まるでチューナーですよ先生の耳・・・。 なるほど、改めてチューナーの針の振れを見てみても確かにそうなってるんですよ・・・。
それが私の耳には全然そうは聴こえて来ないから始末におえない・・・。 いつもと同じように弾いて特に変えているつもりはないのに音自体は変化しているのです。
結局これも、周囲の音だけではなく自分の音も聴いていないということなのではないでしょうか。 私達は合奏する機会は結構あります。
しかし、ほとんどの場合周囲の音を聴いていない。 下手すると自分の音すら聴かず、 何も考えずにただ単に無神経に指を置いて行っているだけという、
信じられないことすら普通に起こっているのかもしれません。 いや・・・、信じられないことはない・・・、素直に受け入れて考えてみると、
なるほどこれは日常茶飯事に起こっていることなんですよ・・・。
ハーモニー感を養成するには、美しいハーモニーを出来るだけ多く体験することが重要で、 自分の音と周囲の音に充分気を配る習慣を身につけることによって達成できるのではないでしょうか。
それなのに、合奏すればするほど実は周囲の音はおろか自分の音さえ聴いていない事が多いという、 なんと恐ろしいことが明るみに出てきたのです。
これでは、合奏する度に「周囲の音と自分の音を聴かない」練習をしているようなものです。
つまり・・・・ 合奏すればするほど、耳をひらくどころか「耳をふさぐ」練習をしていたという事になりますね・・・。
このようにして、ハーモニー感が身に付かない人がどんどん出来上がっていくということなのでしょうか。 それなら・・・、こんな合奏練習なら、
しないほうが身のためということになってしまいます・・・。
オフ会の合奏も、楽しければそれでいいじゃないかと、これまでは思ってきました。 しかし本当にこれだけに終始しているのは、いかにももったいなさ過ぎるじゃありませんか。
せっかく都合をつけて合奏する為に集った私達、せめて何かもっといいものを得て、 大げさに言えば、なにか人生の思い出に残るようなそんな体験にしたいものです。
この深刻な状態を打開するには、根本的に合奏する気構えや意識を変える必要がありそうです。 今日のレッスンは非常に考えさせられるレッスンでした。
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