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<美しいハーモニーにあこがれて・・・分離唱のすすめ>
(10) 衝撃の体験 〜その4

4)常にハーモニーを感じて

合奏すればするほど、それは自分の音はおろか周囲の音も聴かない練習をしていることと同じなんだ、これは即ち、耳をひらくどころか「耳をふさぐ」練習をしていたのだという私の結論に自分で驚愕しながら、今度はこれを逆手にとって作戦を練って見ました。 幸い・・・?このところは合奏機会がありません。 それで次のレッスンまでの2週間、毎日必ず自分で分離唱をする傍ら、CDでできるだけ沢山のいいハーモニーを聴くことにしました。MIDIの伴奏でビオラの練習をするときにも、できるだけ全体のハーモニーを聴くように心がけました。CDの方は、ウィーンフィルや長岡京アンサンブルの演奏、それに先生からお借りした佐々木先生指揮による男声合唱など・・・。

この男性合唱のCDは、もう30年前の演奏会のライブ録音ですが、ある高校のOBたちの合唱団です。佐々木先生が分離唱の指導をされて、耳がひらいた方ばかりで結成された合唱団で実にいいです。 みなさんハーモニーを愛する気持ちがとても素直に現れていてついつい聴き入ってしまいます。佐々木先生は本の中で、ボイストレーニングをして鍛えた声楽の方の声は、 ハーモニーにはあまり良くないというようなことを書いておられます。そういう方は自分の声を気にして喉で歌うのでどうしても上ずってしまって、ハーモニーから遊離してしまうそうなのです。 ですから、佐々木先生のご指導ではボイストレーニングはあまりやられなかったようです。所がこのCDの、全員でわっとハモったときの美しさは全くそれを感じさせないのです。それは、ハモること自体が力となり美しい声となって聴く者を圧倒する迫力を伴って表現されているからなのでしょう。 まさに「ハーモニーは力なり」との感を強くします。実はこのCDはほとんど毎日のように聴き、 ほかにも面白いことに気付いたのですが、 これは又次回にでも実際の音をお聞かせしながらご紹介したいと思います。

まぁ・・・つまりは徹底的にハーモニー漬けにして、 満を持していざレッスンへ・・・。 ・・・・・といってもその実、あまり自信はなかったのです。 世の中そんなには甘くない、 たった2週間でそんなに急に耳が良くなるとは、そうは問屋がおろすまい・・・。

所が・・・意外なことに、分離唱が完璧だったとのお言葉。 4つ5つの課題、やさしいのから始まりましたが、 結構いやらしい和音まで完璧に分離唱出来たようなのです。以前はオクターブ上下して言ってみたり、 関係ない音を言ってみたりしていたのに、 今回は上から順番に正確にピッタリ・・・だったらしい。 今回ばかりは先生はむしろ感心されていました。 おお・・・これは予習の賜物なのか・・・。 私自身、確かに無心に素直な気持ちで、「聴こえてきた音を歌う。」ことに専念していただけですが、先生は心中「おおすごいすごい」と思いながらピアノを弾いておられたそうです。

それに、今回はビオラを持って行ったのですが、こちらの方も結構良かったらしい。 2・3曲弾きましたが、シューベルトのロザムンデを弾いたときはちょっと面白い現象が・・・。 d mollの曲でAの音から始まりますが、この音の音程が非常に悪いとの指摘です。 どう調整してもなんともなりません。 ここのところだけ、分離唱したり分離奏したりとかなり時間をかけたのですがどうしても直らないのです。 もう、こればかりやっていても仕方ないと言う所まで来たので、あきらめて?曲を進めました。するとまもなく同じ音が出てきたのです。 今度は転調してA durのAです。これは非常にいい音程だったとおっしゃるのです。 同じ音にもかかわらず・・・です。

先生のお話では、私はd mollよりA durの方が好きなのではないか。 あるいは、充分慣れているのではないかということだったのです。 確かに、ヴァイオリンはシャープ系の曲の方が弾きやすく、そういえば多くのヴァイオリン教本もA durやD durから始まっています。 ヴァイオリンの人は一般的にそう言う傾向にあるのかもしれません。

いずれにせよ、先生のお話では、 d mollよりA durのハーモニーに支えられる方がよりよく鋭敏に反応していることは確か。つまり、これは明らかにハーモニーを聴きながら弾いているということで、 確実にハーモニーを感じ出した証拠ではないか・・・。おぉー!・・・そうなのか・・・。〜♪

結局この日のレッスンはこれまでの中でも最高の出来ということになり、 その「進化ぶり」に先生も「耳がひらくのもそう遠い日ではない」「伴奏するのが楽しくなってきた。」 と、ありがたいお言葉。

いや・・・・こんな幸せは長く続くわけがない・・・、 神様はまたいずれどこかで落とし穴に陥れるはずだと、 ことさら疑ってみたりしながら、 その実顔は緩みっぱなしの一日でした。(笑)

(所がこの予測は後日見事に当たることになるのです・・・。)

いずれにせよ・・・、いい耳になるには、 いい音楽をよく聴くことが不可欠・・・だということ。 これは昔からよく聞かされて来たことです。 私も結構良く音楽を聴いていた時期がありましたが、 一向に耳は良くなってません。 これはどうやら「聴き方」に問題があるようです。 ただ漫然と聴いているだけではダメなのではないかということ、 ・・・つまり、ハーモニーを「感じながら」聴くということでなければならないのではないでしょうか。 全体のハーモニーとして・・・、 合奏しているみんなの頭の上に広がって響いているハーモニーを、 ひとかたまりの響きとして感じることが必要なのではないか・・・と言う気がするのです。

そして、そのハーモニーを感じる耳を加速的に育てるのが分離唱というわけです。